S-060 “いかろすぅ.” | Test Flight ( 6.04 ) ( 7.02 ) | 第24回 鳥人間コンテストReport |


 S-060の製作風景を簡単に振り返っています.2年計画の機体製作がどのように進行していったかの目安になると思うので簡単にですが日付も入れてみました. しかし,.“いかろすぅ.”の場合,実質的な製作期間は1年計画と変わらないスケジュールとなって いるので2年という事を気にせずに参考にしても構わないと思います.

 “いかろすぅ.”は,kera達と宮崎達の代にとっては実質的には始めて作る機体となりました.kera達の代にとっても“にわとり”では,スチペ貼りやフィルム貼りの経験しかない状態だからです.(熱収縮フィルムの採用で,フィルム貼りすら未知の世界に・・・) だから,やること全てが分からない事だらけ. 毎日が,「設計者・野村昌樹の考えを再現するには,どうすればいいんだ!?」という疑問との格闘で,必死だった思い出ばかりの気がします.
 その試行錯誤を楽しんだS-060の製作日記です.

1999年4月〜

2年計画での機体製作が,宮崎達の入学と同時にスタート!まずは,リブマス削り.
まだ,ガレージがないので,活動場所は,部室と4号館でした.
99年度夏休み

主桁の外径すら決まってない状態なので,もちろんリブを作っても桁穴は適当な大きさで開いてます.今,出来る事を探して作ってる状態です.
11月下旬〜

芝際後の設計変更により,大部分のリブマスを作り直し.旧リブマスたちは,廃棄処分・・・・.このあたりが長期製作の辛いところ.設計者に時間を与えれば,,もっと良い物が出てきてしまうものです.
12月〜3月

時期的には,この辺りから手焼きカーボンパイプ本格始動! まずは,T.B.Tにとって未知の世界である「手焼きカーボンパイプ作りの確立」を目標に動き始めました.もちろん,実機で使える出来でなければ意味がありません.「どんな釜の構造にすればいいのか?」 「どのくらいの温度を保てばいいのか?」 「どんな材料を使えばいいのか?」などの様々な問題との格闘でした.右の写真は,高温すぎて表面がドロドロ状態です.ガレージ全体を停電にしてしまったりと失敗の連続でした. 1日に数本作ろうとすれば,その場に居た人が無駄に徹夜を繰り返し,“じゃぱん亭の弁当”を愛用していました. しかし,1本の成功をきっかけに順調に進める事が出来ました. 作った種類は,Φ30・Φ56・Φ70などで,人が乗っても折れない位の物を作る事に成功しました.
2月21日(月)

待ちに待ったカーボンパイプの到着!!
総額190万円!! この頃の作業内容は,残りのリブ作り・テストピース・熱収縮フィルムなどの新しい材料調達・順調になっていた手焼きカーボンパイプ作りなどです.
2月下旬〜3月

リブ付け開始!ジグには,買ってきたままの板を立てただけの物を使用しました.これは,ジグとしての精度が一番出ると判断したからです. (この時の僕は,板に余計な手を加えるほど精度が落ちると思ったんです.) だから,ちょっと良い板を会計さんに頼んで買ってもらいました. 
              (ドイトにある様な板だけど・・・)
S-060では,0番と1番の中間までに副桁がある設計
(S-050も長さ・構造的にもほぼ同じ設計)です.
そして,その翼接合部では副桁も物理的に接合されています.左の写真は,その作業空間を作り出す為のオフセットです  
 (写真の桜木花道は,気にしないで.なんか寂しかったからカッターに付いてたやつを置いただけです.)
3月

写真は,山ちゃんのカーボンファイトです.顔が真っ黒です.マスクの跡までクッキリと!! 寿命を縮めていく・・
3月

加工室には行った事がなかった雄太が,主翼のリングなどの旋盤加工を自発的に担当してました.加工室の先生に鍛えられながら,着実に腕を上げていきました.写真は,3番翼永久継ぎ部分のリングです.芸術品です.
3月下旬

4号館階段横のスペースを使って,フレームの骨組み組み立て作業. 
 写真は,固定し終わってドーム製作中のもの.
2000年4月

主翼とフレームとの接合部を硬化中の写真.
「このフレームに指一本触れた者 死刑!!」の文字が光ってます. 
 山ちゃんは,「これ曲がって付いてない?」の一言でノムさんに蹴られてました.
接合ネジ穴のは,移動の自由を考えて主桁・副桁側共に9個の穴が開いています.
4月〜5月

Keraが初めて任された「尾翼接合部」の実機設計.
就職活動先から「尾翼接合部の図面書いて!」の一言で任された思い出の品.図面を書く面白さを知るきっかけになりました. ビームパイプと同じ幅で作られている接合ユニット同士をネジ1本で固定する構造になっています. 
               (右の写真じゃ分かり辛い・・)
5月

S-060のB・Bケースは,プレートと一体化させ,
フレームにプレートを固定する設計になっています.
テンショナーは,プレートに付いた太い輪ゴムでテンションをとる構造になっています.
5月

S‐060から採用した自走輪.それを実現する為のアルミフレームユニットです.完成後にペダルの干渉はないのに,ペダルに足を乗せた時にかかとが当たる問題が発覚!!(結構初歩的!) 作り直して,なんとか完成.
5月下旬

タイヤが手に入らずに,部品待ちの状態だったのですが,ようやく完成した自走輪ユニットをフレームに取り付ける事ができました..黒いカーボンパイプに対して,かなりアルミフレームが目立ってますが,「これがカッコイイんじゃん!」だそうです.(野村談)
ほぼ完成したフレームの出来に大満足の設計者.
本人が乗っても壊れることなく笑顔で記念撮影!!
 “いかろすぅ。”のハブは,“にわとり”の時の物を引き続き使用しました.構造は,桁に接着された外筒と内筒(ハブから出ているアーム)を差し込む事でブレードを固定し,外筒と一体化されたプレートによって取り付け角を作り出しています.
4月から主翼製作を仕切っていた宮崎.納得いく出来になるまで何度も作り直し,テストフライトや大会が近くなれば,連日の徹夜!!S-060の主翼の美しさは,彼の努力なしでは語れないでしょう.新しい材料・熱収縮フィルムの使用も確立しました.
でも髪型がパーマ・・・・
宮崎と同様に主翼製作を仕切っていた敦.主翼作り大好きな彼は,作り方に強いこだわりを持っていました.徹底したこだわりは,気に入らなければ全て最初から作り直すほどに.「パイロットなのに・・」との周りの声に戸惑いを感じながらも,終電で帰った後のトレーニングも欠かさなかった男です.
7月

大会モデルのペラ作りです.設計は,山ちゃん&悟.
製作は,山ちゃん&悟&須貝ちゃん&麻衣ちゃんのペラ班4人.
バルサのリブと外皮で構成されるT.B.T標準規格的な構造.

7月

フェアリング製作です.トラック内にゆとりがあるため学校で骨組みのエポ止めまで完成させてます.
ビームに付けられるリブ(アバラ骨みたいなやつ)は,上から乗せる様な構造になっています.


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